DBMFL第30回は、映画『ドラゴンボール超 ブロリー』製作担当の稲垣哲雄さんと製作進行の野本雄也さん、本田竜馬さん、松井翔さんに突撃! 製作のお仕事とは?
2018/09/30 09:00

今回は映画『ドラゴンボール ブロリー』の製作現場を支える、製作担当と製作進行のみなさんに、お話を伺いました。
インタビュー当日は、まさに予告映像の作業の真っ最中!
意外と知られていないお仕事の内容のほか、予告映像の現場秘話など貴重なお話が盛り沢山です!


稲垣哲雄
映画『ドラゴンボール超 ブロリー』製作担当。『ONE PIECE FILM Z』、『ONE PIECE FILM GOLD』など数々の作品を担当。


野本雄也
映画『ドラゴンボール超 ブロリー』後半パートの製作進行。『ワールドトリガー』、『キラキラ☆プリキュアアラモード』などを担当。


本田竜馬
映画『ドラゴンボール超 ブロリー』冒頭パートの製作進行。TVアニメ『ドラゴンボール超』、『タイガーマスクW』などを担当。


松井翔
映画『ドラゴンボール超 ブロリー』中盤パートの製作進行。TVアニメ『ドラゴンボール超』、『タイガーマスクW』などを担当。

ーーまず初めに製作担当と製作進行のお仕事について教えてください。

稲垣:製作担当は製作進行の統括ということで、全体の進捗を進行さんに確認しながら進めていきます。全体のスケジューリングをして、遅れている所があれば改修していくような感じですね。その中で製作進行がそれぞれのパートを担当しています。

野本:製作進行はカットをそれぞれのセクションに回していくのが、主な仕事ですね。アニメーターさんからカットができたという連絡が来たら、回収をして演出さんに渡します。演出さんのチェックが終わったら、次は作画監督さんに渡す。今回の映画ではパート作画監督、総作画監督、エフェクト作画監督と3人いるので、そこにどんどんカットを回していきます。

稲垣:今回の映画は1800カットくらいあるので、3つのパートに分けて分担しています。パートごとに演出さんを割り当て、それぞれの演出さんに製作進行がつくという感じですね。各パートごとの割り振りの他に、各セクションごとのやり取りも3人で分担しています。松井くんが美術の担当で、美術があがってきたらその進捗を野本くんに伝えて、撮影担当の本田くんが撮影に回して、…というような流れです。これから横のやり取りも増えますし、忙しくなっていきます。



↑カットごとにあがってきた原画を、間違いないかまずはチェックするのもお仕事。

ーー最近ではどんなカットを進めているんですか?

本田:一番最近では予告のカットを動かしているところです。各パートごとに予告映像になるところを最優先に進めています。

ーー予告映像ではどんな部分を担当されているんですか?

野本:自分は後半のアクションのパートを担当しています。長峯達也監督のパートなので派手なところですね。

本田:ぼくの担当は物語の導入部分なので、派手さとは別の部分で印象に残るところ、ポイントポイントのキーになる部分が結構多いですね。予告では特に印象的な部分をかいつまんで見せています。

松井:自分は中盤のパートを担当しているので、予告では日常とアクションの両方がある形になっています。ベジータとブロリーの闘いが多いですね。

稲垣:今回の映画では、監督から「外国の方にも喜んでもらえるように」という要望があって、それを意識して作っています。

ーーでは、ここでお3人の『ドラゴンボール』との出会いを教えてください。

稲垣:僕は学生時代にオンタイムでアニメを観ている世代です。まさか仕事で関わるとは思ってもいなかったので、とてもありがたいことだと思っています。

野本:自分も小学生の頃にTVアニメが放送されていて、リアルタイムで観ていました。映画も家族で観に行っていましたね。

本田:小学生の頃にアニメをやっていて、ずっと観ていました。天板のところが『ドラゴンボール』の学習机を使っていて、いまだに実家に置いてあります。あとはみんなもやったことがあると思いますが、学校でかめはめ波の練習をひたすらやっていましたね(笑)。

松井:僕は世代ではなかったのですが、プレイステーション2の格闘ゲームをすごくやりましたね。それがきっかけで、映画やアニメを観始めました。

ーー『ドラゴンボール』で好きなキャラクターは誰ですか?

松井:今回の映画ではベジータのカットが多いパートを担当しているので、ベジータが好きになりましたね。いよいよ悟空が登場するかというところで野本さんのパートになるので、僕はベジータパートです(笑)。

本田:自分は昔からブロリーが大好きですね。

野本:自分もベジータが好きなんですけど、松井さんとかぶっちゃうのでベジットで。彼が出てきた時の最強感はすごく印象に残っています。強いキャラクターは男の子の憧れですからね。

稲垣:僕は初期のほうの天下一武道会とかが好きだったので、またいつかあんな話になってくれればいいなぁと思ってますね。

松井:いや、ベジータよりも…パラガスかな? 報われないところがいいですね。昔の映画のパラガスも良かったですけど、今回の映画のパラガスも悲惨で好きです。

ーー『ドラゴンボール』のお仕事はTVアニメ『ドラゴンボール超』から担当されているのでしょうか?

稲垣:本田くんと松井くんはTVアニメ『ドラゴンボール超』から引き続き、映画に来てもらいました。製作が担当する作品は会社の意向が反映されるので、監督さんや演出さんとは作品との関わり方がちょっと違うかもしれないですね。ただそのほうが色々な作品に携わって、さまざまな現場を経験することができるメリットがあると思います。

本田:映画でも『ドラゴンボール超』の担当になって、まさに「オラ、ワクワクすっぞ!」でしたね(笑)。

稲垣:TVと映画の進行スピードは異なり、映画のほうのゆっくりと進んでいく感じが僕は好みです。

野本:僕はこの映画の前にはTVアニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』の担当だったのですが、映画とテレビでは製作進行の仕事も異なる部分があります。ただどの作品もスタッフのみなさんは優しい人ばかりで、仕事のやりやすさの面では違いはありません。『ドラゴンボール』はアクションの多さに驚きましたね。『キラキラ☆プリキュアアラモード』にもアクションはありますが、その3倍くらいはあると思います。

稲垣:『ドラゴンボール』で特徴的なのが、「描きたい」、「やりたい」というクリエーターさんが圧倒的に多いんですよ。それがびっくりしましたね。子供の頃に観ていた人や、アニメ業界に入るきっかけになった人が多いので、描きたいという人が多いのかもしれません。

ーー製作進行のお仕事はどんなところが大変ですか?

松井:スケジュールを崩さないよう、クリエイターさんたちに仕事の催促をする事が業務のひとつなのですが、仕事を催促するのはつらいものがありますね。でも遅れるわけにはいけないので、急かさなきゃいけない。そういうストレスはありますね。「ごめんなさいだけど…やってください」という不安定な心持ちです。

本田:僕は「頑張ってくれていても、遅れてはダメ」という感じでわりとドライですね。その代わり、終わったときに美味しいご飯を一緒に食べられればいいな…という思いでやっています。だから松井くんよりは気持ちの負担は少ないかもしれません(笑)。

野本:自分はクリエイターさんに甘い方ですね(笑)。監督は色々とチェックをしたり、全体のクオリティーを考えなくてはいけないぶん作業量が多いので、細かな作業をお願いする時などは、いつも申し訳なく思っています。でも親身になって対応してくれるので、安心してやっています。

稲垣:長峯(達也)監督はまわりの意見を取り入れながら、うまく変えてくることが多いですね。

野本:製作としては、内容が変わるたびに大変なんですけどね(笑)。


↑このように、あがってきたものをチェックし、次のチェックに回していく。

ーーでは最後にみなさんの考える、映画『ドラゴンボール超 ブロリー』の見どころをお聞かせください。

稲垣:今はまだ作っている最中ですが、かなり手応えのある内容になっているので、期待していただきたいと思います。海外も意識して作っていることもあって、アクションシーンも相当気合が入っています。

野本:今回はTVアニメから続く形で映画になっているので、TVアニメから引き続き参加されているスタッフさんに加えて、映画ならではの豪華なスタッフさんがたくさん入ってくれています。特に絵に関してはすごいと思いますね。「なんだこれ!?」と思うほどの素晴らしいカットがあがってきていますから、スタッフさんの熱量もすごいですね。

本田:悟空などメインのキャラクターだけでなく、端の方までよく見ていただくと色々なキャラクターが出ているので、そこにも注目していただけると面白いと思います。僕の担当は初めの20~30分くらいなのですが、そこで確実に1回は泣けると思います。編集した映像を見て、僕もちょっとウルッときました。

松井:今回はベジータがすごくカッコいいです。最近はギャグと、いつも傷だらけなイメージがあったのですが、そういう流れを断ち切ったような気がします。ベジータとブロリーの闘いは、スピード感がハンパないですよ。闘いでは一瞬の映像なのに、TVアニメ1話分くらいのすごい量の絵が描かれているんです。クリエイターさんたちの熱意が止まらなくてあ然とします(笑)。


↑“総作監行き”のハンコが推された原画の束…ぶ厚すぎます!! みなさんの想いがこもっているのが厚さから伝わってきますね。


来週は、なんとあの人にインタビュー! お楽しみに!!

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