DBMFL第33回は、映画『ドラゴンボール超 ブロリー』の音楽を手がける住友紀人さんにインタビュー!
2018/10/21 09:00

多彩な楽曲の数々で映画『ドラゴンボール超 ブロリー』を盛り上げる、住友紀人さん。そのお仕事の現場の様子や、楽曲に込められた思いまで、たっぷりと聞いちゃいました!


住友紀人 すみとものりひと
映画やドラマなど幅広い楽曲を手がける作曲家。TVアニメ『ドラゴンボール改』魔人ブウ編、『ドラゴンボール超』、映画『ドラゴンボールZ 神と神』、『ドラゴンボールZ 復活の「F」』『ドラゴンボール超 ブロリー』の音楽を担当。

『ドラゴンボール』の仕事は今だに「僕なんかでいいの?」
 
ーー『ドラゴンボール』との出会いについてお聞かせください。
 
住友:高校生の時にTVアニメを観て、鮮烈な印象を受けました。アメリカへ行っていて観られなかった時期もありますが、日本に帰ってきてからも毎週観ていましたね。昔から子供だけでなく大人も楽しめる番組だったので、僕も観るたびに高揚していました(笑)。当時の音楽もまだ鮮明に覚えているものもあります。そのときにはもう音楽家志望だったので、おのずと耳に残っていますね。
 
ーー住友さんは『ドラゴンボール改』魔人ブウ編から音楽に関わられていらっしゃいますが、『ドラゴンボール』の仕事をやると決まった時のお気持ちをお聞かせください。
 
住友:『ドラゴンボール』のお話をいただいた時に、この歳になって「僕なんかで良いのだろうか」という心境になりました。ファンとして『ドラゴンボール』を観ていたときの印象があまりにも強く残っていたので、その中に自分の音楽を入れるというのは全く想像がつきませんでした。やらせていただけるのは光栄ですが、世界中のファンを敵に回すかもしれないというプレッシャーもありましたね。
 
ーー依頼は林田プロデューサーから?
 
住友:そうですね。林田さんから「まずは書いてみてください」と言われたので、自由に取り組めました。『ドラゴンボールZ』で音楽を担当されていた菊池俊輔先生は、金管楽器とかを上手に使ってクラシックでもPOPsでもない独自の世界を造られていた。自分の『ドラゴンボール』の音楽のイメージは、菊池先生が担当していた時代とイコールのものだったので、まずそれを払拭するようにしました。今までのシーンを払拭してゼロにしてから、新しい『ドラゴンボール改2』というものをアプローチしてみようと思ってやりました。その後、映画もテレビシリーズも何作もやらせて頂いたので、信任されたのかなと思っています(笑)。
 
ーー映画『ドラゴンボール超 ブロリー』のお仕事が決まった時の気持ちをお聞かせください。
 
住友:「やったー!」って感じです(笑)。『ドラゴンボール超』のTVシリーズが終わってしまった直後で「これでもう終わっちゃうのかな」と思っていたので、まだ続いていくことが嬉しかったですね。
TVシリーズ&映画の音楽作りとは?

ーー音楽のお仕事はどういうところから手を付けるのでしょうか?
 
住友:TVシリーズの場合は曲のイメージが伝えられて、任意の尺で書くんです。「この曲は多分シリアスなところで使うだろうから、尺は長めで2分半」とか。「これはギャグシーンで使うから30秒で良いです」とか。それをオーダー表に沿って1曲ずつ書いていくんです。映画の場合はシーンが全て決まっていて、曲の順番も決まっているんですよ。1時間半の中で、M1から始まってM30とかまで、順を追って進んでいく。TVシリーズは、どこで使われるのか分からない段階で曲を書いていくんです。
 
ーー映画は場面に合わせて曲を書くということですね。
 
住友:そうですね。他が仕上がってから、M1から順を追って書いていきます。今回の映画ではブロリーが冒頭近くから登場しますが、ブロリーはストーリーによってどんどん変化していくじゃないですか。それに対応して音楽もどんどん変化していく。そういう風に1つのモチーフが変化していくだろうということを考えると、クライマックスから書いてしまうとおかしなことになっちゃいますよね。曲もどんどん変えていくんだったら、話の進行、時系列で書いていかないと、予定調和でおかしなことになってしまう。「ここが出来ているから、ここに持って行くまでにどういう風に計算していくか」ではなくて、「ここから始まったものがどう足し算されていくか」という書き方をした方が、観ている人に寄り添って書ける。観ている人が高揚したり、悲しんだりするのと同じ精神状態で書いていくことができるんです。だから映画の場合は、ある程度ストーリーができてから取り掛かります。進行状況によってCGやアフレコが全て出来ていないということももちろんありますが、ストーリーが順番に並んだものを見ながら音を書いていくので、「どうなるんだろう?」とワクワクしながら待っています(笑)。


楽曲作りは常にチャレンジ!
 
ーー脚本を読まれたときの感想をお聞かせください。
 
住友:聞いた話によると鳥山先生も「今回は原点に返って書き直す」という熱意を持っていらっしゃると伺って、僕らも決意を新たにした感じですね。監督と一緒に、音楽が入るところを、1ページずつ1シーンずつ追いかけながら脚本を読んでいったのですが、「なるほど」と思いました。脚本を読みながらの打ち合わせは、ドキドキとワクワクがいっぱいですね。
 
ーー脚本を読みながらどのようにして楽曲を作っていくのでしょうか?
 
脚本や絵コンテを穴が開くくらい凝視しながら、その場で発想を膨らませるんです。監督が「こういうシーンでこういう曲」と言ってくれたときに、「自分が過去に書いたあの曲風だけど、ここでちょっと変える」というような発想を、1曲ずつメモっていくんです。発想ができないシーンが問題で、そういうシーンはその場で監督に質問するんですよ。例えば悲しいシーンひとつとっても、「どのくらい悲しいんですか?」とか、ブロリーが精神的に変化していく場面は、「どこまで音楽で表現すべきですか?」というような感じで、細かく丁寧に進めましたね。後半は特に、格闘曲ばかりといっても過言ではない中で、どういう風に差別化していけばいいのかというのが課題でした。似たような曲だと飽きてしまうし、かといって全く違う曲ばかりを書いても統一性がなくなってしまう。しかも中盤からどんどん激しい格闘曲を要求されていくと、中盤からずっと天井につきっぱなしなんですよね(笑)。僕が悪戦苦闘するのをわかっていらっしゃるから、監督さんも一緒になって考えてくださいました。オーケストラを用いた格闘曲とは別に、例えば歌や声を他用した応援歌のような曲とか。どうやって書きやすくしてあげようという監督から僕への愛情ですね。「こんなのどうですか?」と、色々提案していただいて、非常に助けられました。


ーー映画『ドラゴンボール超 ブロリー』公開まで2か月、待っているみなさんに住友さんからメッセージを!
 
住友:僕はモニターに映像を出しながら楽曲を書いているのですが、常にその向こう側にオーディエンスの方々の存在を意識して、みなさんが映画を見た時の心境や表情を想像しながら書いてきました。楽しんで頂ける自信があります。公開はもう少し先になりますが、絶対にみなさんの期待を裏切らない作品になると思いますので、ご期待ください。